あるクライアントさんは、前回のセッションで、過去のセルフイメージと今やっていることと、ずいぶん乖離しているところがあるようで、なかなか今の自分を認めることができないでいました。それは、過去のセルフイメージが、未来の変化を邪魔しているようです。これから未来を変えていくための、いざ決断というときに、かなり迷いがあるようです。ここを解放できたら、とても変わりそうです。セッションで考えていくことにしました。

 前回、過去のセルフイメージを今のセルフイメージに塗り替えるとか、上書きするとか、再構築するという言葉があります。しかし、クライアントさんにとって、上書きも再構築も=否定のニュアンスが出てきてしまって、どうも受け入れがたいようです。どう考えたらいいでしょう? 

「中の人は、認めない、ってずいぶん頑固そうですけど」

「そうですね。この人はどうしたら出ていくんでしょうかね? 住みにくくするにはどうしたらいいか?」

「それよりも、仲良くすることを考えてみたらどうですか?

「え、それは考えたこともなかった!」

「中の人、ずいぶん自分に厳しそうですが・・・。でもそこに同意するとしたらどうでしょう。そうだよね、・・・苦手だよね、と」

「同意?」

「だって、過去の中では苦手なことは事実であったわけで、過去はそうだったと考えるとき、同意できますよね」

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 だんだんと映画インターステラーになっていきました。私とクライアントさんの頭のなかでは、過去、現在、未来全ての時間と連結している空間から見ている感じです。そして、過去へ行ってみたり、今を見ていたり。過去のほうに行ってみたら、「それは苦手」なことになっていて、今のところから眺めてみると、「そのことに時間を割いている自分がいる、苦手というわけでもない自分がいた」ってだけでした。「過去を1号室、今を2号室、未来を3号室」というふうに、別々に考えたのです。

 セッションの最後、とても軽くなったそうです。60分前に躊躇していた行動について、「いまやっちゃいまーす!」と軽い調子でお答えになりました。対話で、本当に人は変わるものです。でないと、13年もこの仕事続きませんね。(笑)