地域柄、50代、60代が多く、「あなたは若いから着れるのよ」と言われ、「そうですか」という感じで終わってしまう。お客様のネガティブワードに引きずられるそうです。転職したばかりは、いい感じで売上もとれていたようですが、だんだんとそういう人が多いのでやりにくいな…と、モチベーションが下がってしまったようでした。

 一度、「モチベーションを上げるコツとし、堀口さんは何かしていますか?」というメールを頂いたのですが、「私は子供のころからモチベーションが高いので、よくわかりません(笑)いつもベストを尽くすだけです」と返答しました。その後のセッションです。

 話を聴いていくと、店長はその辺もうまくやって試着に持っていけるそうです。「だったら、できる可能性はありますよね…」とクライアントさんに確認してみましたが。

 「そこまでやる必要があるのか? と正直思うんです。そこまでして売りたいというわけでもないのかなとか」

 クライアントさんの考える動機が、「自分がやりたいか、やりたくないか」のところになっている気がしました。これは「販売」ですから、買うのはお客様。つまり、相手が「試してみたい」と思っているんですから、そちらに話を合わせていけるのが、売れている販売員です。極端な話、自分はあまりお金を持っていなくても、お客様に30万円のコートを売れますか? ということです。それができているひとは、「買いたいと思っているお客様に、着こなしや価値などを説明できている」のです。

 「相手が買いたいと思っているのだから、自分がどうというのは関係ない。相手が気持ちよく買っていくように、こちらはどうもっていくか? ですよ」とクライアントさんに視点を変えてもらいました。

 特に日本人のメンタリティーとして、「本音と建て前」がありますので、表面上の言葉だけで理解したと思うのは、気持ちの傾聴を出来ていないということになるのです。「傾聴力をつける」必要はあると思いますので、傾聴の本をお勧めしました。


 しかしクライアントさんは、「余裕がないと聴けないのではないかと…」とおっしゃいました。私は、「背景を知ろうと思って聴くから、余裕が生まれるんですよ」とフィードバックしました。

 「洋服を売ればいいじゃん。とだけ思っていました。だから、店長の接客も、そんな風にしていかなくちゃいけないんだ・・大変そうと思ってしまっていたんです」とのことでした。

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 だんだんと話しながら、「諦めない思考について」の話になりました。クライアントさんは、無理だと思うと、諦めやすいところを突破する必要がありそうです。
 「これは向ていないとか、これは嫌いだ」とか、ジャッジをつけるのが速いのだと思います。そこを超えてみると、伸びしろだらけになるのです。

 考えすぎるのではなくて、「問い」かけておくと、後はセレンディピティが起こるのです。探しているものをサインとしてうまくキャッチできるには、「常に、考えるようにしている」ことが鍵になります。それは日常の衣食住のこだわりを考えることで、鍛えられると思います。ファッションのコーディネートを考えたり、掃除の仕方を考えたり…。6月のCleaning Meets Fashionを創りながら、掃除とファッションの融合点が、「考えること」だなとまた、共通点を見つけました。

 「考えないことが当たり前になってしまうと、脳はただ怠けるほうを選ぶだけです。それを『脳死』と言うんですよ」と冗談で言いましたが、クライアントさんに大変ヒットしたようです。

 モチベーションというよりも、考え続ける思考をしているかどうか。脳を使ってあげること、すなわちなんでもこだわる習慣をつけていくことが、脳死から脱出する鍵になるのではないかと、このセッションではそんなまとめになりました。