「1000問が、ずっと流れるには?」 
 まず最初の100問は、簡単に答えられるものにしてみようという発想が湧いてきました。自分だけで作るよりも、実際に質問を投げかけながらのほうが作りやすいと考え、セラピストのクライアントさんと、トータル4時間くらいかかって、200問くらい考えました。結果的に使ったのはそのうちの数問だけになりましたが、そのやり取りを経ないと次の発見へと至らなかったと思います。

 また、質問というテーマで、ベストセラー作家が書かれた本もいくつか見ました。最初の質問が気になったからです。最初の質問は、「最高の人生にするには?」というような類のものでした。それを見たとき、既に存在しているものはやめて、違うものを作るべきだと思いました。

 それから私がフォーカスしたいのは、「今」だと気づいたのです。昨年観た映画『about time』のリチャード・カーティス監督のメッセージにもとても共感していました。「今を幸せに感じることができる」感性を養うための質問集というテーマが浮かんできました。

 しかし人に、「あなたは今十分幸せよ」と言われたところで、当事者にとってそうは思えない心境のときも人間だからあるはずです。なぜ、人から見たら幸せなのに、受け取れていないのか? すでにある幸せに気付けないでいるものをLet it go する質問を途中に作ることが必要だとも気づきました。だんだんと、目次の流れが見えてきました。


 では、肝心な最初の質問をどうするか? できる限り普通がいいのだけれど。となると…。

 英会話スクールに通っている私としては、”How are you?”が浮かんできました。きっとその答えは、さまざまでしょう。Fine なのか、Good なのか、Pretty Goodなのか・・・・。ここで、質問集を始める自分の状態を知れるバロメータになると思いました。

 じゃあ、2問目は? 1問目に対して、どの答えが返ってきたとしても、相手をジャッジしないのは、「質問していいですか?」かな…。3問目で、「本当にいいですか?」と、もう一つつっこんでみよう…。と、ごく自然に隣どうしの質問をつなげる感じで、最初のアイスブレイクな質問を100問作っていったのです。冒頭のセラピストをしているクライアントさんにメールをすると、「クエズリーが質問をしているみたいで、なんか、違和感があります」と返ってきました。最初に作っていたものと全く変わってしまったからです。「クエズリーが質問をしている」そう感じてもらうことで、よかったのです。


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 イラスト担当の人に英語で進捗を説明し、実際に1問目から苦戦しながら英語で質問を読み上げていくと、相手は途中で自然と質問に答え始めました。そんなつもりはなかったので、相手の反応に面白いなと思いました。私も、相手のことについて知らなかったことを知れたし、質問の答えは、映像も浮かぶ回答がたくさんあって、本当に楽しい時間を過ごせました。

「質問されることが楽しかった!」と言われ、そもそもなことに、はたと気づきました。
「この質問集で本当のあなたに気づいてもらいます」みたいなエゴが、どこかに飛んでいってしまったのです。「なんだ、質問されるだけで、人は幸せになれるのか!」と、シンプルな発見に嬉しくなりました。

 実際に、英語で『1000 Soul Searching Questions』の質問のやりとりを音声収録したものです。クエズリーの使い方、その2「with a friend」バージョンはこんな感じになると思います。

Quesley @English Conversation School 編



 英語初心者でも、相手に質問ができれば、コミュニケーションは成り立つものだと感じています。ところが、何を質問していいか、すぐには出てこないものです。そんなとき、話を深める質問集である本書を使えば、質問をして相手から答えを引き出すというスピーキング&リスニングトレーニングにも使えます。普段聞かれたことのないような、相手に興味を示す質問ですので、相手との仲もきっと深まるツールになると思います。

 コミュニケーションの主導権は、聞き側にあると言います。クエズリー作成時に授業参観があり、小学校1年生の姪の教室の掲示板に「話し上手は聞き上手」というポスターを見つけるというシンクロもありました。

 『1000 Soul Searching Questions』は、自己探求だけでなく、コミュニケーションツールにしたい想いが湧いてきたのです。「質問されることが楽しい」という原点に戻って、また1000問を精査する作業に入っていきました。