販売を専門としている方ではないですが、季節ごとの売り出しのときには家のお手伝いをしているそうです。売るのが苦手と感じる高価な商品をどう販売していけばいいのか、毎回それを売るのにブロックがある感じがしているとのことで、セッションのテーマとなりました。

 プライスダウンを理由にお薦めするのもどうかと思うし、そこまで自分も愛用しているわけでもないので、難しいなと感じているとか。
 「自分ならどう勧めてほしいですか?」と質問すると、ハッとされていました。相手の立場へ視点が初めて移ったようです。「コーディネートの幅が広がる提案があったり、発見があること」とお答えになりました。
 でも、それでは当たり前の発想です。もっと根本的なところはどこなのだろう? と私も思いながら、対話を続けていきました。

 そのほかに、クライアントさんが見落としていたのは、「質問をする」です。コーディネートを一緒に考えていったり、お客様の思考を整理するために、考えを引き出すことが必要です。
 また、質問とフィードバックをすることで、購買につながることもあります。

 私が友人の買いものに同伴したとき、「一生ものを買いたい!」と彼女が言ってきました。「それはハードルが高いね。40歳から80歳の間に体系も変わるかもしれないし…。とりあえず40代のうちに着ることを考えて選ぼう」と私は返事をすると、「それもそうだね」と彼女は笑いながら気づいたようです。選びやすくしていく作業も、購買につながりやすくなるのだと思います。


Fotolia_16667686_XS セッションがあと10分のところで、「もうひとついいですか?」 と、クライアントさんがテーマにしたいことをおっしゃいました。

 クライアントさんが手伝うお店では、いくつかのファッション雑貨を販売しているそうです。身近なひとが、Aは自分も好きだらから売りやすい。Bは自分があまり興味ないから、売上のためにやっている感じとのことで、そのような場合についても考えてみたいようでした。

 「売上のためにやる」というのは、自分の利益がゴールという感じがします。相手の幸せのため、と勿論思っていても、違った角度で考えてしまうのです。

 知人からビジネスの相談を受けたときのこと。
「Bの商品へつなげたいから、Aの入り口の商品は、問題点に気付いてもらうことをゴールにしている」とその人は言いました。きっと誰かのアドバイスを聞いたのだろうと感じました。私は、「Aの時点で、すでに相手が幸せにならないと、逆にBへつながらないよ」とフィードバックしました。

 その人は「ハッ」としていました。

 また「つなげようとしている」ということは、「買わない人にフォーカス」しているとも言えます。利用することを選ぼうとしている人が、より幸せになるところにフォーカスすることが、商品を作る人も素敵なアイデアが湧いてくるのではないでしょうか。

「買いたいと思っている人が、いい買い物をしたと感じてもらうには?」
そうクライアントさんに私が質問したときに、私がハッと気付きました。

「買いたい人に共感できていない」ことに。それが本質的な問題ということです。自分が好きな商品を売れるというのは、お客様に共感しやすいからです。そうでないときも、「共感」を示すことができたら、どうなるでしょうか?

 つまり「共感力を高めること」が課題ではないかと、クライアントさんにフィードバックしました。自分が共感できないことでも、「共感的理解」を示すことならできるのです。

 私も全てのクライアントさんが感じることを「共感できる」ことは不可能です。しかし、「そう感じることは理解できる」というところまで、とことん傾聴することはできます。

 以前あるクライアントさんの「そう感じる」ことが、私は全く理解できなかったときに、「そう感じることが、私には全く理解できないんですけど、なぜそう感じるか? 詳しく説明してもらえますか?」とくらいつきました。(笑)クライアントさんは、私がそうくらいついたことで、もう「わかってもらえた」と近いところまで安心されたのではないかと想像します。結局、色々話してもらって「わかってきた!」と伝えることができました。そのセッション後は、その方のブレイクスルーへと繋がったのです。

 「共感的理解を示す」という取り組みが決まり、売り出しの日が楽しみに変わったようでした。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

気持ちを理解するまで話を聴いていますか?