日頃の気になったことが色々あるけれど、言語化できていないし、毎日自分らしくない感じがすることがあるとのことで、90日コーチングのご依頼を頂きました。
 まずは、オリエンで言語化体験をしていただきました。何年も、何でだろう? と感じていたことが、言葉になる感覚は気持ちがいいものです。

 「毎日、全力でないし、自分らしくない」というところから、話が始まりました。
自分らしくない点としては、自分の意見があっても、はっきり言ったらまずいから黙ることが多く、言わないと、言えば良かったと思うこともあって、「伝え方」にとても悩んでしまうのだそうです。

 もともとは、海外生活が長くいらっしゃるそうで、日本の会社に20代後半で初めて転職し、自己主張しなきゃいけない外国文化になじみが深かったこともあり、いつもと変わらず、自分の意見を言うようにしていたようなのです。

 私は、それを聞いて、あるときから、自己主張することは、悪いことだと知って、傷ついた自分がいたのではないか? と思いました。そのときから、ずっと自己否定を無意識でしているのではないかと言うことです。
 そう訊いてみると、「傷ついたのか・・・・」と初めて自分が傷ついてしまったことに気付かれたようでした。

 ある日、周りとうまくやっている人は、自己主張を抑えた発言をしている様子をみて、「こうすればいいのか!」と、自分もそうしてみようと、真似て演じ続けていたそうなのです。
 「それって、いいフレーズを見つけただけで、本心ではないですよね」と返すと、「そうです!」と、自分が自分らしくなくなってきている行動を、今、発見できたことにとても驚かれていました。

 「会社では心を閉ざしています。浅く、仕事だけやって。それって、どっと疲れるんですよ」と続けておっしゃいました。

 クライアントさんは、日本人の感覚に馴染めない自分を自己否定していらっしゃるご様子でした。 
 私が思うに、外国人の会話の仕方は、「元気?」と訊いたら、「元気だよ」と返ってきて、「君は?」と返すイメージがあります。
 中学生の英語の教科書で、なんでいつも「あなたはどうですか?」が付いているのかな? と、私は子供ながらに疑問に思っていました。
 日本人は、「元気ですか?」と言ってもらうのを待っている人の方が少なくないし、そして、聞かれたら自分だけ答えて終わるパターンのほうが、どちらかと言うと定着しているのではないかと感じるのです。

 クライアントさんは、日本人とのやりとりも、馴染みのある相手を尊重する持っていきかたで、いいのではないかと、感じたことを伝えました。クライアントさんがもともと持っているものですし。自分が馴染んできた文化を否定することもありません。
 相手が言ったことを、「こういうことですか?」とか、「○○であっていますか?」と確認することは、相手の存在価値を認める表現ですし、コミュニケーションの上で大切なことの一つでしょう。

 すると、会社でのあるやり取りのことを思い出されていました。
 部下が上司に「何でそう言ったんですか?」と発言したとき、上司は「理由なんて聞かれたの初めて!」と驚いている様子を見たのだそうです。
 クライアントさんは、部下は、気が強そうな発言だけど、なかなかしっかりして、いい子だなぁと、思ったのだそうです。
 しかし、上司が「理由なんて聞かれたの初めて」と言ったので、「理由を聞いちゃいけなんだ・・」と感じて、どっちも悪くないと思うのに何も言えなくなってしまったそうでした。


 昨日のブログにも書きましたが、この場合も「事実と感情がごっちゃになっていて、真実が見えていない」ケースです。

 クライアントさんは、部下のことを「気が強いタイプ」と感じられたようですが、それは、クライアントさんがそう感じただけで、実際はこうかもしれません。

 部下は、理論的に理解しないと、分からないタイプ。気が強いと言うよりも、もしかして気が弱いほうが、真実に近いのかもしれない。
 一方上司は、感覚的で、「こんな感じ」で理解出来てしまうタイプ。だから、理由を聞かれても困ってしまうタイプ。
 ちなみに私も、「なんで?」と聞かれるのが、面倒くさいタイプでしたので、そう思わず言ってしまう上司の気持ちもわかります。(笑)
 そこにコミュニケーションのギャップが生まれているのではないかと言うことです。

 この場合、上司に「あの部下は、理由を説明されることで理解が深まるタイプなのかもしれません。上司は、感覚タイプなので、そこにコミュニケーションのギャップがうまれているのかもしれませんね」と、双方の理解を示す返し方が考えられます。
 
 事実を取るようにすると(真実を見ようとすると)良い、悪いは、なくなるのでしょう。クライアントさんが、とりたいと思っている「中立な姿勢」は、事実を見ることで作れるのかもしれません。


 「あの人は気が強い」。
事実は、「あの人は気が強いとその人が感じた事実」です。だから、もしかしたら気が強いのではないかもしれないということです。

 相手が、「あの人は怒っている」と言ったとしても、「あなたはあの人が怒っているように感じたんですね」ということです。
 真実は、すごく愛情があって、そうしているかもしれないです。本当のことは本人しかわからないです。つまりは、相手を想うことが大事なのです。

 最後にクライアントさんが、おっしゃいました。「何か言われることを恐れて、はじめから耳を塞いだ状態になっていました。もっと話をよく聴くようにします」と。

 傷ついて、演じるようになって、事実を見られなくなってしまう・・・。クライアントさんは、そんな状態になっていましたが、こうしてセッションで、事実を見ようとしたことによって、色々と発見がありました。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

本当にそうですか?