特に、セッションのテーマを決めず、気になることから話が始まりました。おかませセッションです。このスタイルでセッションをすると、クライアントさんが気づいていないことを、私が気づくことがよくあるのです。いい方法かと思います。

 本当はこうした方がいいのかもしれないけど、そういうのは自分のスタイルではないし、そういうやり方は嫌なんです…、という話になっていきました。ある進めたいプロジェクトについて話していたのですが、どうやら前進を阻んでいるかのようでした。

 「では、どうなったらいいですか?」と改めて質問をしました。

 どうなったらいいか、幾つかお答えになったのですが、「いや、でもわからないですね…。以前、そうやってがっかりしたことが多かったから…」とやはり堂々巡りのようです。

 自信があるものに関しては、どんどんと進ませることが出来て、結果も出てきているのですが、クライアントさんにとっては進められないことの話になると、同じような理由をいつもおっしゃるように感じました。

 私は言いました。「これまでのセッションも通して感じることは、他の人はそうやるけど、自分はそれが嫌いだから、やりたくないと、誰かと比較して自分を卑下するようなことが多い感じがします。自分のやり方はこれでいい、自己肯定感があまりないですよね」と。

 自分と全く違う相手ならば、褒めたり、いいところを伝えたりということは、されるのですが、自分と似通ったことをしている相手や、自分自身のことになると、自己承認、自己肯定があまりないように感じました。

 「自分のいいところは?」と質問してみたら、「地道なところがあって、ペースは遅いけれど、継続力があるところ」とおっしゃいました。
 続けて出てきた言葉は、「自分は世界を変える人間ではないし。人と交流してあっちいったりこっちいったりできないし…」と、また誰かと比べての発言を自然とされていました。
 きっと、無意識で癖になっているようです。そのような発言をするたびに、ネガティブな気持ちが潜在意識に知らず知らずに蓄積していっているのではないでしょうか。

 以前、フランス人と日本人の違いについての本を読みました。『お金がなくても平気なフランス人 お金があっても不安な日本人』というタイトルです。

 例えば、物を買うときに値段が想定よりも高く、買わないことにしたとき、私たちはなんて言うでしょうか?

 おそらく、多くの日本人は「お金がないから買えなかった」という言い方をするのかもしれません。フランス人は、「私は買わないことを選んだ」と言うのだそうです。
 つまり、どういうことかと言うと、「お金がないから買えなかった」という日本人の言葉には感情がついていて、「私はこれを選ばない」と言ったフランス人の言葉には感情が付いていないということなのです。買い物で、ネガティブな気持ちになっていないわけです。きっと、高いものも、安いものも、両方見比べて、ショッピングそのものを楽しんでいる様な感じがします。「お金がないから、いつもその店しか行かない…」という制限も、少なくなりそうですね。

 その例からみると、「○○は嫌いだから」という言葉を発することを意識的にやめて、「私はそれを選ばない」と発するようにすれば、ありのままに捉えるだけになり、自分を卑下することも減るでしょう。また、相手のことも尊重できるようになるのではないでしょうか。

 人と比べないことが、自分で自分を成長させる力になるのです。自分のことをいくらでも伸ばしてあげましょう。
 クライアントさんは、「戦っていたのかもしれない…」とご自身を振り返っておられました。

 他の例も話しながら、段々とありのままに捉えられる視点が開かれていきました。
 セッションの最後の方になると、「地道にするタイプ。職人気質なのかもしれない。コアな人に届けられればいいです。お客様のことを考えて進めているし、人のために今できることをやろうと思います」と、ご自身のありのままに肯定されていました。

 継続してセッションをされると、毎回繰り返される特徴のようなものが、見えやすくなります。自分で自分を苦しめている発言を、知らず知らずの間にしていることも少なくありません。私自身も、ニュートラルな位置を感覚に持てるようにチューニングしてきたこともあり、相手がニュートラルでないところがあると、フィードバックできるようになりました。ニュートラルなポジションに戻ったとき、自分らしさが現れてくるのでしょう。
 この指摘をするかしないかで、クライアントさんが望むゴールへの変化のスピードも随分変わってきたように思います。

 普段、癖になっている発言は、気づけば改めていくことが出来て、意識して変えていくことで、自分の心と体にも平静が訪れるのです。潜在意識にいい言葉を投げかけてあげましょう。
 以前、『水からの伝言』という本を読んだことがありましたが、自分に投げかける言葉は、ダイレクトに自分の心と体に響いていくのでしょう。言葉選びも大切にしたいものです。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

人と比べてクタクタになっていませんか?


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