同じ認識を持っている人ならば、話しやすいけれど、相手がその言葉に嫌悪感を持っていたり、理解してもらえないとき、どうするか? というセッションでした。
 始めはここだったのですが、話していくうちに、自分のもとからの力を否定していたという発見につながっていきました。そこを悩むということは、「自分」に気づきたいという表れだったのでしょうか。

 知っている人の間では、当たり前に使う用語でも、知らない友達などには、「何それ?」となってしまい、怪しい感じに伝わってしまいがちなので、なかなか話しにくいと言っていました。
 例えば、コーチングを勉強し始めたとき、「承認」という言葉も、私は言いにくいなぁと感じていたことがあります。また、女性に対しては「成功する」という言葉も言いにくい感じを持っていました。それに対して、「成功って言う言葉のイメージが悪ければ、成功しませんよ」なんて、昔は返していたかもしれません。浅いですね…。(笑)

 知ってしまうと簡単だから、使い回してしまうことってある気がします。しかし、相手に理解してもらおうと努めるために、中学生くらいでもわかる言葉に言いかえられるように、自分の表現力を磨くことも必要かもしれません。

 話していくうちに、クライアントさんは、感覚派なのかな? と感じ始めました。
 「小さいとき、勘が鋭かったのでは?」と訊いてみると、「『なんとなく』しか言えず、もっとちゃんと言いなさい」と、感覚的なものの言い方を否定されたことがよくあった、という体験が出てきました。
 自分は直感で動きたいけれど、相手は直感を信じていない場合の対応に、子供のころから困っていたそうなのです。

 自分の中では、「ただ、そうなの」ということでは、理解してもらえないことが重なり、直感を使わないようにして、理由を探すようになった…と、思いだされていました。

 クライアントさんが困るときというのは、「なんとなくじゃわからないよ、何にも考えていなんだね」と言われるときだそうです。ここで、「勘が鋭いのは、何も考えていないからだ」という意見は、本当なのかについて考えてみました。言われっぱなしも嫌ですしね。(笑)自分なりに考察してみればいいのです。

 勘は、本当に何も考えていないのでしょうか?
 勘が鋭いというのは、相手をよく観ているから発揮されるものなのではないでしょうか?

 クライアントさんにそう伝えると、「勘は適当だと思っていました」とお答えになりました。
 私は続けて「勘は、細かいのだと思いますよ。だから、街を歩くだけで辛いでしょ?」と訊いてみると、「以前、電車に乗れなくなったことがあって、自分の世界に入るため、イヤホンを使うようになりました」とお答えになりました。

 私もこの仕事を始めてから、街を歩くとき、やたらと観察しすぎて、疲弊した自分に気づいたことがありました。あの服の選びかただと、こういう性格なのかな? とか、色々考えてしまうのです。最初は、訓練と思っていましたが、段々と職業病になってしまいました。なぜか、全員ジャンケンが強くなりました。(笑)

 クライアントさんは、相手の話のちょっとした語尾も気にして聴くタイプなのだそうです。子供のころからそこまで細かく観ていることに、驚きました。きっと、子供の頃、絵画などで賞を獲ったこともあるのかなと思って、勘で訊いてみたところ、「小学生の頃、絵画で賞をよく獲っていました!」とおっしゃいました。

 ふと、私の弟が消防車写生会で賞を獲ったことを思い出したのです。絵の真ん中にちょっと遠目から見たはしご車が描いてあり、辺りはモクモクとグレーの煙の中の絵でした。弟と1歳半しか変わらないので、私も10歳くらいだったかと思いますが、うまいと思えず、「え? これが賞なの?」とびっくりした記憶があります。
 今なら、「煙がそこに見えていないのに、そこまで想像して描いたのか、臨場感あるなぁ…なるほどなぁ〜」なんて、評するかもしれません。
 その話しをクライアントさんにすると、「それ、わかります〜」とおっしゃったので、二人して笑ってしまいました。

 そこから過去の色々な話をクライアントさんは思いだし、子供のころから困っていたことが、セッションのなかで、逆転勝利のように、なっていきました。

 自分の中でずっと否定していたことが肯定できたことで、これから人の見方も変わることでしょう。「今日のセッションは、自分の中で、全然、気づいていなかったことが言葉になった感じです」と笑いながらおっしゃっていました。

 
 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

自分の能力を否定してしまっていることはありませんか?


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