クライアントさんはある立ち上げにかかわっているようです。ご自身の経験からも、世の中に広めたいことのようで、立ち上げメンバーとして大忙しのようでした。毎日講義を受けて、夜は自分でセミナーも開催、SNSでの発信もしなくてはいけない、しかも新幹線の移動が多い日々、ホテル暮らし…と、聴いているこちらもめまいがするくらいお忙しいようです。


「日々やることで終われている。時間の使い方について考えたい」がテーマです。まずは、1日の基本スケジュールを訊いてみました。

 講義自体は面白い、しかしそれ以外の時間に資料作り、まとめる、復習の時間がとりにくいそうなのです。 
 クライアントさんと同じようなスケジュールの人もほかにもいるそうですが、うまく時間を使っている人もいるとのことでした。となると、効率化できる可能性がありそうです。

 時間がショートカットできる方法はないか? 話を聴いていると「勉強したことをまとめたいんだけれど、まとめる時間がない」とおっしゃいました。

 つまり、復習の時間ということです。インプット時の工夫が何かできるでしょうか? 例えば、講座を聴きながら、メモ程度にどこを発信したいか? キャッチコピーをメモにするようにして、基本的に聴くことに集中して、メモを取らない方法があります。講義をしてくれる先生もそのような方針のようで、「聴くこと」に集中させるように言われているようでした。

 しかしクライアントさんは言いました。「書いたほうが覚えられるタイプなんです。優位感覚も『言語』が上位なので。だから、講義も後で文字お越しをしようと思っているんです」と。
 そうすると、「聞きながら、メモを取りながら、文字お越しもしなくちゃ」と考えながら講義を受けているということです。脳が疲れるのではないでしょうか? ストレスの原因も見えてきました。

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「書いたほうが定着する方の人だ」というのは思い込みの可能性があります。私も優位感覚テストというのをやったときに、「言語」と出てきたので、「やっぱりな」と思ったのですが、一番テストで点数が低かった「聴覚」の仕事についたら、「聴覚」が鍛えられてきたのです。
 鍛えていくと、一度聴いたことを忘れにくくなりました。そのほか、視覚も鍛えようとして、目で見た情報をそのまま写真のようにイメージとして記憶することを意識したりもし始めました。鍛えれば、すべての五感は動くようになるのだと、私は考えています。

 ボイトレレッスンを始めたころ、私は注意事項をメモをしながらレッスンを受けてました。しかしある時、レッスン音声を録音しているので、書かなくてもいいや、と思ったのです。そうしたら、レッスンそのものの集中力が高まり、先生が教えてくれたことが、再現しやすくなりました。今は、メモを書くとしても記号程度です。書かないようにしたことで、集中力が高まったのでしょう。進化するようになっていきました。

 クライアントさんの新しいシステムは以下になりました。
「講座は聞くことに集中。キーワードを書くだけにする。キーワードをマインドマップに打ち込み、あとで枝葉をつけて整理。デジタルで残すことで、整理しなくちゃ、というプレッシャーも逃れる。マインドマップにすれば、セミナーもしやすくなる。タイピングするときに、手を動かすので、潜在意識に入る。文字に書いたほうが覚えられる→ 聞くことに集中すれば、自然と覚えるようになれる」

 そして、「聴覚はそもそも苦手?」と質問すると、子供のころはピアノをやっていたようです。ある日、歌の歌詞を覚えようとしたとき、日本語の歌詞がなかなか覚えらえなくて、「書かないと覚えられないんだ」と思い込んだことを、今思い出したようです。

 一方、海外留学をしたときに、ほとんど英語ができない状態で行き、日本人がほとんどいない状況で、すべてのコミュニケーションを英語でしなくてはいけない数か月を過ごしたとか。
 しかし帰りには、日常会話ができるようになったそうです。先生からも「一番上達した」と驚かれたそうでした。

 文字に頼らないほうが、覚えることに集中できる体験を20歳の頃にしていたということを思い出され、なんだ、できるのか! という気持ちが蘇ってきました。

 コーチングは、「忘れていたことを思い出すため」の時間でもあります。このセッションでクライアントさんは、思いこみができた出来事を思い出したと同時に、できていたことも思い出したようですね。