もう7年くらいおつきあいのクライアントさんのセッションが、4か月ぶりにありました。仕事をやめるタイミング、東京に出てくるタイミング、転職するタイミング、面接対策…など、毎回、セッションで方向性を明確にして、前進するきっかけを掴まれています。そういうタイミングにかかわらせていただく場を与えてくださっていることにも感謝です。

 クライアントさんが、「こっちをやりたい」と思っているときに、「今はそこにエネルギーを注ぐときではない」というフィードバックをしたことがありました。
「コーチは、クライアントのやりたいことにそって、コーチングするのかと思ったら、違うときもあるんですね」とびっくりされていました。今思えば、やはりそのときの選択が正しかったのだと言える道に進まれています。

 私も播磨コーチにそう言われることがあります。今、どこにエネルギーを注ぐべきなのかを考えさせられるのです。命=時間をどこに注いでいくのか? 日々の行動の選択が未来をつくる、自分の人生がどうなっていくか?は、毎日どこに時間を注いでいるか? で未来が決まるのです。
 コーチングセッションの場は、人生の選択を決める場になるのです。リピーターの方が多いのは、月に1度でも頭を整理する時間を持ったほうが、充実した人生を送れると何度も体感していただいているからだと思います。


 さて、今回のテーマは、「これからの方向性について」という漠然としたところから入りました。すると、話していくうちに、これまでも何度か話題になったテーマが再浮上してきたのです。

 新しい職場にも慣れて、結果も出るようになってはきた。しかし、少しずつはよくなっているけれど、いろいろ言われることが気になるとのこと。以前の職場でも、上司から「もっとアピールしなさい」と言われるけれど、自分はアピールが苦手なんです、ということで、意思表示を流すことが多かったとのこと。アピールが苦手なクライアントさんは、転職活動も苦戦されていました。前の職場で十分結果がだせているのですが、そこをうまく語れない。クライアントさんが、どういう風に結果を出したかをよく知っている私が、職務経歴書や面接で話すことについて、言語化を助けることで、転職も成功したという経緯があります。

 ここでまた、「伝え方」という問題が来ました。
 上司から、「何で結果が出ないの?」と質問されて、伝える苦手意識から、あいまいに流していたようですが、とうとう思っていることを伝えてみたところ、「そういう精神論じゃなくて」と言われ、まるで言い訳を言っている感じになってしまったようです。やっぱりだめか、と撃沈です。

 同僚の中には、うまく見せることができたり、飲みの席で、お酌して周りを盛り上げたりできる人もいる中で、クライアントさんは、居心地悪さをいつも感じてしまうのだそうです。自分にはそういうことができないと。でも、いつまでも、できないからやりません、のままだと、人脈が広がらなし、昇給にもつながらないのではないかと、危機感を持ち始めたようでした。
 友人と久しぶりに旅行に行ったときに、「また行こう!」と言われ、金銭的な面でやはり昇給したいなと思ったようです。

「アピールが弱いことは前の会社から言われているけれど、結果出せばいいんでしょって思うんです」とクライアントさん。何が一体足りないのでしょうか?

・何も言わずに黙々とやって、結果がでたAくん。
・上司とのコミュニケーションも取りながら、結果がでたBくん。

 おそらく、Bくんのほうが世渡り上手でしょう。Aくんのままでもいいですが、クライアントさんの今の心境としては、Bくんになれるように、自分の苦手な部分を磨いていきたいという感じでした。

「自分には何が足りないんでしょうかね?」

「どちらかというと人に合わせるタイプです。嫌われないようにはしている。だけど、分け隔てなく話せるひとは、人を気にしないようにも見えるし。意識しすぎですかね? そもそも上司と話がかみ合わないのを感じるんです。『何で結果でない?』と何度か聞かれて、ようやく答えましたが、言い訳みたいに聞こえてしまうようですし」

「かみ合わない理由があるんでしょうね。おそらく、ビジネストークと精神論的なことだからでしょうね。男女の話がかみ合わないのと似ていると思いますよ」

01278-450x337 クライアントさんのここまでの話を聴いて、私もようやくコミュニケーションギャップが見えてきました。私が外食からアパレルに転職したときも、最初、話がかみ合わないことに苦戦していました。
 男性の多い外食産業では、理論的だったのに対し、女性の多いアパレルの場では、感性で話す言葉が主流だったからです。2年くらい気づきませんでした。気づいたから、劇的セールスアップへつながったといっても過言ではありません!

 クライアントさんにシェアすると、「自分としては本質にかかわることをやっているつもりですが、論理的にと言われてしまうんです」と返ってきました。やはり、理論的に話すことが欠けていることで、上司に話が伝わらなかったのでしょう。

 例えば論理的に言うには、「オペレーターに1日3回確認をとり、その都度ディスカッションの場を持っています」とビジネス用語と数字を入れて話すなど、工夫が必要です。

 クライアントさんがこれから世渡り上手になるには、相手の話をまずよく聴いて、「理論的に言ったほうが通じるのか? 感覚的に言ったほうが通じるのか?」を見極めて、相手の言語に合わせて言葉を選ぶことです。

 クライアントさんは男性ですが、どちらかというと女性的な感覚的言語を使うタイプです。なので、気持ちを傾聴するということは、素でできるでしょう。「言いたいことはわかるよ」と言うことはできると、やはりおっしゃっていました。

 伝えるときに相手によって伝え方を変えられるようにしていくこと。誰とでも話せる人は、そうやって相手に合わせているのです。
 相手によって伝わるように話せる自分になること。相手の使う言語の世界を見極めて、言葉を選ぶ。それが次の成長になるのではないかと思います。

 ビジネスの場でアピールするときは、数字とビジネス用語、アクションを具体的に話すようにすることを心がければよいでしょう。
 クライアントさんも、私もすっきりです。これからの成長の矛先が見えたセッションでした。

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