IMG_7998 『1000 Soul Searching Questions』の着想を得たのは、1966年の人工知能を持ったコンピューターELIZAの話を、5月に英会話のインストラクターから聞いたからです。それは、I'm sad.と入力すると、Why are you sad? と質問が返ってくるという、セラピストのような対話ができというもの。そんな話をしているときに、"You should make a soul-searching App! Why not? That would be great!"と言われたことが、最初のきっかけでした。

 それで、作り始めたわけですが、実はその前に伏線があって、今年の4月に、映画『her』について、これも英会話のインストラクターから教えてもらっていたのです。アカデミー賞脚本賞を取っているので、知ってはいたのですが、『her』のポスターは赤で、あまりそそられるものではなく、映画好きなのに公開されても観に行っていませんでした。しかし、「ロマンチックな映画が好きな人は、気に入ると思うよ」とのコメント。自分がロマンチストかどうか?(笑)試すためにも観てみることにしました。

 内容としては、こちらもAIの話。主人公がAIに恋をしてしまう話です。設定は、少し未来のロサンゼルス。iPhoneよりもコンパクトな端末の中のAI(サマンサ)とお話もできるし、いつでもポケットから主人公が観ている景色も、AIは一緒にみることもできる。そのAIは日々進化して、感情までも学習して、どんどん人間らしくなって、主人公は、コンピューター相手に恋人のような関係になっていくのです・・・。

そのときの感想記事へ

 両方とも、コンピューターがコミュニケーション能力を持ち、人間に寄り添ってくれるということが、私にとって印象に残ったことでした。もちろん人間ですから、人間どうしが寄り添えることが一番幸せではありますが。そもそも、自分ひとりでいるときに、自分自身にも寄り添うことができていないほど、忙しい世の中ではないかと思うのです。
 
 私も聴く仕事をして5年目に、「寄り添う」という言葉の意味を理解したほどです。ビジネスコーチングから聴く仕事の世界に入ったので、「どうしていきますか?」が主なわけです。しかし、ずっと何かが足りないと、私の心はいつもどことなく曇りがちでした。足りないものの存在がわからないまま、こっちかなと向かった先は、気持ちに寄り添う傾聴の背景を学ぶ講座でした。足りないものは、「気持ちの傾聴」だったのです。

 気持ちの傾聴ができるようになると、自分が以前よりもずっとずっと優しくなれたように感じられて、自分を満たすことへもつながりました。

 そのような自分の体験からも、自分自身にも相手にも「寄り添う」ことは、人を元気にするように感じています。そこで、ELIZAとサマンサのような、寄り添う端末を今作れないだろうか? と考え始めたのです。