ご主人が引越しを伴う転勤となり、4年半勤めていた会社を転職することになったクライアントさんは、次の後任を見つけるために、面接にも同行されたようです。そして、自分よりも年上で、その仕事は初めてのことだけれど、能力の高そうな方を採用できたとのことでした。しかし、クライアントさんが思っていたよりも高い給与からのスタートのようで、クライアントさんは、今までの自分の評価は何だったのだろうか? とやるせない気持ちも湧いてきたようです。

j0431223 そんなときどう考えますか? とメールを頂きました。クライアントさんは、どちらかというと自分のことをアピールすることは苦手のようで、いままであまり発言をしなかったことのツケも周ってきたのかもしれないと感じ、今の会社を辞める前に、評価の仕方について、今一度上司に質問して理由を知り、スッキリさせたいとも思ったようです。

 ご主人にも、このことについて意見を聞いてみたら、「今までの実績と社会人経験の長さからの期待を込めて、始めから給与が良いのでは?」との見解。しかし、やるせない気持ちでいっぱいになっていたクライアントさんには、それでは納得できないようでした。
 私もご主人の意見と同じことを考えていました。実力を発揮してもらいたい期待を込めて、異例のスタートもあり得るわけです。
 どうしてそうなのか?理由を知って納得することも必要なのかもしれないですが、ここで向き合うことが必要なのは、クライアントさんがやるせない気持ちを持っていることです。その様な気持ちの状態で、上司に「どういうことなんですか」と言ったところで、気持ちは晴れないと感じました。そこで、このような助言をしました。


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今回は上司に意見を言うよりも、最後ですので、
いい印象を持って頂く方が上司も気持ちがいいものです。
感謝の言葉を述べるようにするのです。
今は、気持ちは追いつかないかもしれないけれど、
後の自分のことを考えてみても私はそうします。
そして、そんな上司だけど許してあげようとしてみるのです。
また、アピールが出来なかったと、自分を責めている自分を許すことです。

そして、今、出てきている感情をそのまま味わって昇華させてみてください。
また違った気付きを見つけると思います。

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 その後、セッションがありました。クライアントさんは、感情を味わっていたら、頭で自分を納得させようとすることが多くて、感情を味わうことを我慢することが多かったことにも気づかれたようです。

 その後、新しい人と引き継ぎのため話しあうことも多くなり、その人がなぜ高い評価を受けたのか? ニュートラルに捉えられるようになったようです。
 クライアントさんが想像できなかった部分が、実際に話を聞いてみることで、いろいろと知ることになったようです。上司には、今後の参考として、評価について訊いてみたいと、ここもニュートラルに変化していました。

 感情を味わう前は、「やるせない」ところでストップし、そのほかのことを見ようとする余裕もありませんでしたが、味わうことで落ち着いて色々見えてきたようでした。

 そして、セッションでは、自分のことを語るのに躊躇することについてリンクしている過去の再構築をしたり、後任の方との話し合うことで気付いたことを言語化されたり、スムースに引き継ぎがうまくいくために何ができるか? 考える時間となりました。クライアントさんは、だいぶすっきりとされてきたようでした。

 その後2週間経過し、メールを頂きました。

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以前のセッションからもう既に2週間もあっという間に経ちました。
今週末でいよいよ退職です。上司には退職のお礼をする機会がありました。
採用面接の時に上司が私を説得してくれていなかったら今までの4年半は存在しなかったこと。
上司は飛び抜けて決断が早く、分析能力にも圧倒させられるほどで一緒に仕事できて光栄だったこと。
職務範囲を越えて貴重な経験をさせてもらったこと、など、お礼を伝えました。

一時期、ひとみさんには、私の後任の待遇条件で悲しい、やるせない思いをしていたことを
シェアさせていただきましたが、後任の方と今日まで2週間過ごしてきて、
なぜその方が今の待遇を得る事が出来たのか、あくまで私の想像ですが、理解することができました。
つまりは、その方の経験があったからこそでした。
上司はあくまで、今の条件下、出来うる限りの範囲で、採用したかったのだと思います。

ひとみさんからは、セッションの中で、
「後任の方がスムースにいくようにするにはどうしたらいいか?」
という大きなパラダイム変化の一言をいただけたお陰で、以降私の気持ちが劇的に変化し、
このたびの引継ぎを通じて、人を信頼すること、まかせること、
ゆだねることってこういうことなのかなって、実感できた気がしました。

もっともっとさかのぼると、面接からサポートしていただきましたもんね。
あんなに不安だった日々から、今は毎日笑顔です。
引継ぎ最後でスタミナが切れかけていますが・・・笑。
後任の方のパワーをいただきつつ、
夫の転勤による円満退社でもあってか、
社内も温かくサポートしてくれていて、気が楽です。

ありがとうございました。

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 クライアントさんが、やるせない気持ちについてメールを送られてきたとき、私もそういう気持ちになったことがあったので、そのときどう向き合ったのか思い出しながらお返事をしました。

 私も相手にとってやるせない気持ちを持っていましたが、相談した知人に「まずは、ありがとうと言って下さい」と言われました。自分の気持ちとは裏腹な言葉でしたが、そうしてみることで、相手の立場を想像することができました。まず、そこで成長ができたのです。
 しかし、それから数年間、実は気持ちの方は昇華できていなかったことに、後から気づきました。気持ちのほうは別で、味わう必要があったのです。経験だけ受け容れても、感情の方を受け容れていなかったようでした。

 いくら、考え方を言われても腑に落ちないとき、自分の気持ちを味わう必要もあるのかもしれません。

 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

自分の気持ちをおざなりにしていませんか?