「周囲の期待に必要以上に応えようとしてしまうのを、気負わないようにしたい」というテーマでした。4月になり組織も変わったり、全体的に忙しい時期のようです。
 そんなときクライアントさんは、自分が多少忙しくても、「やっぱり助かるわ」と言われたい自分がいて、頼まれると断れないモードになってしまうのだそうです。

 そんな風に職場で忙しい日々が続くとプライベートの方のあるレッスンの日を1週間間違えてしまったり、家に帰るとソファーで寝てしまったり、少しずつ自分の普段にも影響が出始めているようでした。

 新しい上司は、叱咤激励型の上司で、「あなたが全体を観られるようにやっていきなさい」とさっそくと言われたようでした。しかし、クライアントさんとしては、そういう言い方をされることは、プレッシャーをかけられる感じがして、どちらかと言うと苦手。自分は気負わずにやりたいところがあるそうです。同じチームの人をあだ名で呼ぶこともあるそうなのですが、その上司になったら「あだ名で呼ぶのはやめなさい」と言われ、全体的に規律を守らせるタイプだということでした。

 クライアントさんは、規律に厳しい上司のことを苦手と思っていらっしゃいますが、逆に気にしていない人もいるのではないかと思い訊いてみると、「決めてもらうと助かる」という感じの人もいるようです。

 職場でたまに着る制服があるようなのですが、普段から着用を義務付けるように、その上司は言ってきたとか。私は、「制服をきちんと着ることでのメリットもあるのではないか?」と投げかけてみました。

 私が、制服のある職場にいたとき、店舗によっては、社員全員がベストを着用しないでやっていました。しかし、都心の注目店舗のようなところへ異動したら、「ベスト着用」を義務付けられました。最初、驚きましたが、なんだか身が引き締まる思いがして、アルバイトにもそのベストを着用させることを決まりにしました。ベストを着ていると、ちょっとしたよい緊張感を与える存在にもなっていたかもしれません。

 きっと、新しい上司の人は、そういったよい緊張感を期待して、制服着用について言ってきたのだろうと、クライアントさんが見えていなかったことを伝えてみると、「確かにそうかもしれません。仕事に専念できるメリットもありますね。そう考えるとプロ意識も出てくるし、それを利用してみてもいいかもしれません。去年、新調しようか迷って、買わなかったのですが、この機会に新調しようかな!」とおっしゃいました。

 そのクライアントさんは、先日の私との歌のライブにも参加されていた方なので、こんな例を話しました。私は、主催者で年上というのもあり、オープニングに歌いました。私が歌い終わると、メンバーの人たちが「緊張感が伝わってきた〜!」と感想を私に言ってきました。これは、私が緊張していたのではなくて、レッスンで先生に言われたことを忠実に再現しようと丁寧に緊張感を持って歌ったことが、どうやらそういった空気を作ったようです。

 基本、お気楽モードの方が好きな私ですから、最初はそうやって締めたお陰で、お気楽ムードの中にも礼儀ありという雰囲気を出せたかもしれません。(笑)クライアントさんにその日のことを話すと、ものすごく納得されたようで、上司の理解へもつながったようです。これで、一つストレスになっていたことの見方が変わりました。

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 また、自分は仕事がいっぱいいっぱいになっているとき2年目の人は、「お先に失礼します」と言って、帰ってしまうこともあって、「あれ・・・?」となる時もあるそうです。
 そんなクライアントさんの様子について、私は感じたことを言いました。「部下に仕事を頼んでもいいのでは?」と。するとクライアントさんは、「頼む余裕がなかったですね。いっぱいに感じると動けなくなる自分がいるし、その2年目の後輩の習熟度を掴めていないから、振りづらかったのかも」と。
 私は、「部下の成長にもなるから、思いきって振ってみたらどうですか?」と言うと、「そうですね。振ってみて、何かあったら声をかけてねと言えばいいですね。その部下というか、後輩ですね。私は先輩で、うちの組織は、上司という役職がつくのも40代になってからなんで、私は上司と言うより先輩という感じなんですよ」と。

 ここでもまた見えてきました。クライアントさんは、後輩とひとまわり違う人もいるようですが、自分の中に上司的な意識をあまり持っていないご様子です。「自分が承認されたいという思いがあるので、つい仕事を受けてしまう」とおっしゃていた部分とつながりました。

 自分の後輩が増えてきたというのに、後輩が入ってきても、いつまでも自分が承認されることを求めるのではなくて、「自分が承認する番なんだ」ということに気づくことが、クライアントさんがモヤモヤから脱出できる視点だと言うことです。
 これからは、部下の行動が自分の喜びにつながったり、自分が作り出せた場を観て感動でき、自分を承認できることになるでしょう。

 私もアパレルに転職して、2か月で店長になって、それからの1年半くらいは、ずっとモンモンとしていました。色々できることは率先してやっていましたが、なかなか結果を出すことにつながらず、私のやっていること自体も承認されていないことに、これでいいのか?とずっと思っていました。
 しかし、あるときハタと気づいたのが、「私が部下を承認することが仕事なんだ」ということです。それから、私は部下やお客様から承認されるようになろうと思いました。
 「自分が認めて欲しい」と思っていて、「全然認めてくれやしない!」と被害者のように思っていたので、全然結果も生みだすことにならなかったのでした。そして1年後、成果と初めて味わう喜びを感じることが出来たのです。

 「自分が承認されたい」から抜け出すことに気づくのは時間がかかるものです。私もだれからも気づかせてもらえず、結局「上司に承認されようとすることを諦める」ことから、気づきに至ったのです。私の視点の変わった経験談をシェアすることで、クライアントさんは「2年間、悩んでいた理由が分かりました!」とかなり腑に落ちたようでした。
 「今日は、戴冠式ですね」と私が言うと、「プリンスじゃなくて、女王のですよね」と笑って確認されました。

 自分の立ち位置を変えることで、新しく感じる幸せもやってくるでしょう。上司、部下のサポートをしつつ、中間管理職的に動いていく。そうすると、これからはコーチングの勉強などもするといいのかもしれません。何を学んだらいいか? ということについても、見えていなかったここ数年だったそうなので、未来の自分へ向けてもクリアになっていったようでした。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

自分が承認されるのを待っているだけでなく、相手を承認する視点、持っていますか?

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