クライアントさんは、ある展覧会のアシスタントを手伝ったそうで、町中の人が集まってしまったかのように6500人もの入場者数だったそうで、興奮冷めやらぬというよりも、かなりお疲れのご様子でした。

 どんなだったのか? もう少し訊いてみようと、話に耳を傾けていたら30分くらいお話しになって、「ああ、吐き出せてすっきりした! 吐き出したかったんですけど、なかなかそう聞いてくれる人もいなくて。旦那さんとお酒のみながら少し話したくらいで」とさぞかしスッキリとした声でおっしゃいました。

 そして、私と話していると、他の人に話すのとでは、私の返しが違うと、クライアントさんが感想をおっしゃいました。いつも私と話すとスッキリとするのだそうです。私のプチセミのテーマ「伝え方」の次に「視点」をやりたいとクライアントさんに話したら、クライアントさんは、傾聴の勉強もされているので、何が違ったのか? 改めて振り返ることにしました。

 クライアントさんが話したことというのは、「大変だったよ〜」というような雰囲気の話です。

大抵の返し方としては、

 崑臺僂世辰燭諭繊B痢△罎辰り休めてね」
◆屬垢瓦い任垢諭B臉功おめでとうございます!」

と同意または、褒めるという返しが多いそうです。

 クライアントさんとしては、それを言われてしまうと、その続きを色々言えなくなってしまう雰囲気になるのだそうです。

 一方、私はなにを質問したかと言うと、
「それはすごい人数! で、そんな入場者が集まったら、そのお金、どこに行ってしまうんですか?」
「どうしたら、そんな入場者が集まるんですか? どんな宣伝したんですか?」
「6500人に対して、主催者側は何人だったんですか?」
というように、もっと私の中でも、クライアントさんとその状況が共有できるように、イメージが膨らむような質問をまずはしていました。


(クライアントさんから)

「私は、講師の先生のアシスタントをしていたんですけどね、なかなか先生の思いを汲み取って表現すると言うのが難しくて、反省多々でしたよ…。色々な感情が湧きました。うまくできなかったし、いっぱいしかられたし、どんどん命令されたし…」ここで、クライアントさんが話したいことが出てきたのです。

「後悔したんですね」

「そうなんですよ。ワーーーーーーとなって、後で後悔…。私はそんなできませーんって。それに、私はチームリーダーでもないのに、同じ立ち位置のアシスタントの人たちに、もっとこう動いた方がいいとか、たくさん指示を出してしまい、それでよかったのかな? と。指示を出さないで動ける人も、いるじゃないですか。あとから、他の人たちが、ああだこうだ話しているのを聞いて、私、余計だったかも? って」

「指示に従う人もいれば、指示をする人もいるわけだし。色々なタイプがいるから成り立っているわけで、だから、○○さんのやったことは良かったんですよ。指示を待っている人たちも、そうしてもらって、助かったって思っていますよ。まあ、結果オーライですよ」

 そのような話の流れになっていました。クライアントさんと笑ってしまったのは、私が「後悔したんですね」と返した所です。この返し方は、一見ネガティブそうですから、あまりそう返そうとする人は少ないのかもしれません。

 私の返し方は、真実を捉えて返す。ニュートラルな視点で話を聞いており、どの人が悪いとか、ジャッジすることもなく、クライアントさんを含めて、クライアントさんの周囲の人たちの事情についても想像しながら、その場を冷静に観察するという視点であるということが見えてきました。

00182590 それから、アシスタントとして関わった、講師の先生についての話になりました。先生の思いを汲み取ることが難しく、何度もダメ出しを言われ、うまく出来なかったという思いが残ったというクライアントさんでした。しかし、先生から学べることはいっぱいあったとおっしゃっていました。
 だけれども、普段から先生のコミュニケーションの取り方が、こちらから声をかけにくい感じの方のようです。なので、展覧会が終わってから、お疲れの様子の先生の姿があったそうなのですが、何か伝えてあげたいけど、何を伝えてあげたらいいか? 言葉が見つからず、結局、何も声をかけられなかったとおっしゃいました。それに、普段からの先生の様子を思い返して、「伝えない方がいいのかな」とも思ってしまったようです。

 私はそれを聞いてクライアントさんに言いました。「伝えない人の方が多いのですよ。先生もそのコミュニケーションの取り方で、損をしているかもしれないけれど…。でも、きっと先生に言葉をかけてあげたら、喜ぶと思いますよ。相手に伝わりやすい言葉を一生懸命に考えてみるんです。あとからお手紙を送るとかもできますよ」と言いました。

 あんな言い方しなくてもという印象が残っている人に対して、多くの人は「じゃーだったら、言わない方がいいかな」と、ねぎらいや感謝、感想を言わなくなっているのではないかと。それは、他人軸に惑わされすぎなのではないかと思うのです。
 「先生が、やってよかったな」と思えるような言葉を考えること。受け取り方は相手次第かもしれませんが、想像力を働かせれば、そういう人も受け取りやすい言葉をきっと見つけられるのだと思うのです。

 私は、他人軸で自分の出方を決めてしまったり、自分がうまく伝えられないことを理由にして、自分が心の中で感動したことをそのままにしているだけで、相手に伝える人の方が少ない世の中を残念に思います。
 受け身になると自分が被害者のような見え方になるけれど、能動的に相手と関わっていくことを意識してみると、やることが変わっていくのです。

 クライアントさんが色々感じた後悔の気持ちから、これからは、どこに視点を向ければいいか? が自然と見えてきたセッションとなりました。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

あなたはどうしますか?