「人から言われた言葉を受け容れられなくて困っている」というテーマでのセッションでした。
 自分の中に取り入れるのか? 取り入れないのか? そういうときは取捨選択するという考え方もありますが、それよりなにより、「批判をされた感じを受ける」というところをどうにかしたいことが先のようでした。

 具体的なやり取りをお聞ききしてみると、自分が感じていることと、違うことを言われたので、それに対して反論という形で相手に返したそうです。そのときに、「素直じゃないね。君は正当化するよね」と返って来たとか。

 ニュートラルに考えてみると、「私の感じたこと」、「相手が感じたこと」の真実が違うというだけのこと。「あなたはそう感じたんですね。私の真意はこうでした」とただ返せばいいのに、「それは違う」と返してしまっては、相手も否定された気分になってしまうでしょう。つまり、批判を受けるように感じたのは、自分で蒔いた種が引き起こしていました。

 また、「素直じゃない」と言われたことがどうやら引っ掛かっていたみたいなので、「素直」についても考えてみることにしました。素直とは、「ありのままで、飾り気のないさま。素朴」と辞書にありました。

 私にありのままに話してくるクライアントさんは、結構素直な方だと感じます。セッション中に涙が流れてきたら、そのまま流れていますし。また、気になる人に「それは私が感じていたことと違う」とありのままに伝えていることは、素直なのではないでしょうか? 自分の気持ちを我慢して、言えないというかたもいらっしゃるくらいですから。

 この際、「素直なのではないか?」と仮定しながら、「素直じゃない」と言われて、責められた気分になったことに向き合っていきました。クライアントさんの分析では、過去の父親との関係を反映していそうだと感じているようです。

 今は子供のころに比べると、友達の前では素直になれるようになったけど、気になるその人の前では素直じゃない自分を感じることがあって、まるで、「鎧」を着ているかのようだとおっしゃいました。
 そう言いながら、気づいたことが出てきました。そう言えば、どこでもすぐに自分を出すことは苦手で、1年くらいしてから自分をそろそろ出して行こうかなと、タイムラグのある方のようです。なので、今まさに、鎧を脱ごうとしているタイミングだから、「素直じゃない」部分が出やすいのかも? とご自身で話しながら気づかれていました。

 私がその状況をまとめるような言葉でフィードバックしました。
「鎧を着ている時に、素直じゃないと言われる。脱ごうとしてるけれど、つい着てしまうこともあるってことなんですね。ま、着ちゃいますよね〜」と。

 すると、「鎧を着ていることがダメだと思っていました。着ちゃうよね、と思えば楽になりますね。今、脱ごうとしている最中ですし」と笑って返ってきました。

 それにしても、「鎧」とか「着ぐるみ」とか「仮面」とか、その人の感じる色々なイメージで、本当の自分じゃない様子が表現されるものです。(笑)

s 今回のクライアントさんは、「鎧」とご自身でおっしゃったので、ずいぶん体育会系だなぁと、そのあたりつっこんでみると、「私、さそり座なんです。だから、甲殻類ですし、鎧って感じですよね。いいですね、着ぐるみとか、かわいい感じで!」とお答えになりました。

 それを聞いた私が、「さそり座でしたら、私と同じ水の星座ですね。でも、私はスキンのままの魚です。だから、スイミーのように、目になってみんなで力を合わせたりするのかもしれませんね。『me,too』もクライアントさんと作っていますしね。それぞれの生きていくための知恵なんですよ、きっと」と、突然スイミーのことを思い出しました。(笑)
 それを聞いたクライアントさんが、「私、スイミーの劇、やったことありますよ!」と。スイミーについて話が盛り上がってしまいました。

 「基本鎧を着ているさそり座」。そう、クライアントさんの中で認識できたことで、 「素直じゃない」の嫌悪感がここまでの対話で、かなりニュートラルな捉え方になっていきました。


 それから季節的に、「バレンタインデーは?」という話になりました。
 「その人が気になるのなら、素直にあげればいいだけですね」と訊いてみると、あげないつもりでいたようです。「その代わり、こうこうこういう理由で、○○をあげようと思っているんですよね」とクライアントさんが、少し長い理由をお話しになりました。(笑)

 「そんなに理由をつけてあげるもの決めるんですか!」と私が言うと、「理由をつけたがる、ってそう言えばこの前もコーチおっしゃっていましたよね…。確かに、そう言うところありますね…」
 ここでも相手軸に左右されがちなところが発見されました。

 「自分があげる人でいたいのか? あげない選択をする人になりたいのか?素敵な自分はどっち? で決めればいんですよ」と投げかけて、セッションが終わりました。

 数時間後メールを頂き、「やはりチョコをあげてみようと思います!!またご報告させてください!!」と書いてありました。これで、幸せな男性がまた一人増えましたね!(笑)

 恐怖心って誰もがあると思います。だけれども、それを乗り越えよう、と選択するかしないかで、人生は変わってくるのだと思います。きっとここで、恐怖心からの選択をしたら、また恐怖が追っかけてきそうです。変わることは、変化を受け入れることなのだと思います。

 鎧をつけて、理由をつけて、たくさんつけてたから、苦しかったようです。その結果、様々なことを自分の見たいように見てしまい、事実を掴めていなかったことが分かりました。


今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

鎧、着ぐるみ、仮面・・・何かつけてしまうことってありますか?


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