「やりたいことは決まっているけれど、進めないのはなぜ?」というテーマでの単発セッションでした。

 子育てもしながら自分の仕事も始めようとお考えのようで、資格も取得されてあとはやるだけという状況のようでした。しかし、なかなかスイッチが入らないと言うのです。

 セッション事前にメールを頂き、スタートが切れない理由かもしれないことが書いてありました。
 以前に育児をしながら、職場に復帰することになったとき、家事、育児、仕事の両立ならぬトリプル立にパニックになり周りには言わないでいたそうです。そして、心のバランスが崩れていったという経験があるから、またそんな風になったらどうしよう、という恐怖心があるからかもしれないとのことでした。

 私はこうお返事しました。「伝えることができなかったことがパニックになった原因なのかもしれないから、人に辛くなったら素直に言えるようになると、安心感が生まれてくるのかもしれませんね。なので、セッションでは、恐怖心について話してみることからにしましょうか」と。

 そして、セッションが始まったとき、クライアントさんが、メールから考えたことをおっしゃいました。「言えないことが恐怖心につながるか?」考えてみたところ、言えるときは、自分自身のこと。言えないときは、周りに弱音を吐いちゃいけないと思って、言えなかったんだ、と気付いたようでした。今度、始めたいと思っていることは、自分自身のこと。だから、もしかしたら、恐怖心でスイッチを押せないというのとは、違うかもしれないと、なんとなくわかった状態でセッションがスタートしました。

 現在は、家のリビングを人に貸したりして、コミュニティー活動もしているそうです。それにプラスアルファで、資格を生かした仕事を自分が提供して行きたいと考えているようでした。段取りはわかる。あとは、スタートボタンな気がするとのことでした。

「覚悟かしら…」とクライアントさんがおっしゃいました。周りの人たちに「いつやるの? 今でしょ?」みたいな感じでよく言われるそうなのです。しかし、「今でしょ、なんだけど、なんかできない」とのこと。

st 私が感じたのは、他人に背中を押されて、「始めました」となるよりも、自発的に自分で行動を開始したいタイプなのかなと思ったのです。

「背中を押されている感じが、好きじゃないのでは?」と訊いてみると、「そうですね、どちらかと言うと押したい方です」とお答えになりました。つまり、クライアントさんは、人から言われたことよりも、自分で決めてやった感じが欲しいのかなということです。

「今までも、言わないで自分で決めてやってきたと思うのですが、今でしょと思う瞬間ってどんなときだったんですか? 例えば、誕生日だからとか、そういうきっかけとかもありました?」と訊いてみると、「来年4月に子供が入園するから、4月かな? あと、誕生日がきっかけで、今の資格を取得する講座に行きましたね。いついつやります、というのが決まっていることが大事なのかも」とおっしゃいました。

「そうですか、きっかけとなる日付などを決めるとか、なにか区切りと言うか、始められるスイッチになりそうなことって何ですか?」と訊いてみました。

 すると、クライアントさんは思いついたようにおっしゃいました。
「全部で10人の練習が終わったらですかね。あと5人なので、11月中に終わるから、12月にスタート出来そうですね」と。

「なるほど、じゃあ、12月って決めたとして、そう思うとどんな気分になりそうですか?」と聞くと、「やれそうに思えますね」とお答えになりました。

 セッション開始、20分で一番テーマにしたいことが終わってしまいました。
 あとは、聞きたいことがあると言うので、質問を受けたりしながら、セッションの残りの時間を過ごしました。

 セッションが終わってクライアントさんが一言。
「私、わざわざ始められない理由を探していたんですね。我ながら面倒くさいことをしていたなぁ…(笑)」とのことでした。
 応援をしてくれるご主人に、「12月に始めることにした」と話したら、ニヤリと笑って「そっか」と言ってくれたようでした。

 そんなセッションがあったと、コーチングを勉強されたクライアントさんに話したら、「何で、人から背中を押されることが好きじゃないって分かったんですか?」と私は質問を受けました。

 その人がセッションをするならば、「人からは言われているんですね。じゃあ、準備はできているんですね」と返して、そこを問題視しなかったから、そこを捕まえたことを不思議に思われたそうです。

 私の見解としては、「人から『今でしょ』と言われるんだけど、始められない」と数人に言われた例を強調しておっしゃったからです。「人から言われても、始められないんだよね。自分で決めたい」と、心が思っているから、その言葉に引っかかり、抵抗感を感じているなと感じたのです。

 人は、ひっかかっていることや、気になることを、なんとなく話してしまうものです。そうやって、相手の中の答えを見つけていくようにしています。

 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

やりたいことをスタートできていますか?