「自分の弱みばかりが目につくことについて」というテーマでのセッションでした。会社で面談のシーズンということもあり、会社の求める資質のチェックリストなどもあって、悪いところばかりが目につく自分に気付いたのだそうです。自分のことが嫌いなわけでもないのだけれど、良いところがない…という気持ちが生じるそうです。

 人からよく言われるフィードバックを聞いてみたところ、「人にこびない。はっきりしている。付き合いやすい」と言われ、それもどちらかと言うと「強い」イメージで、なんとなくあまりよくない感触を抱いているようです。

 そんな強いイメージを払しょくしようと、「優しくしなくちゃ」と常に思うようなのですが、でも実際のところは意地悪しているわけではないしとおっしゃいました。
 「どうなりたいんですか?」と聞いてみると、「普通の人になりたいです(笑)」と。
 
 次に、自分のいいところ、悪いところ というよりも、「自分の特徴」として捉えることについて考えてみました。
 例えば、世間でいいとされていることだから、悪いという捉え方になったりすることがあります。
 メールなどの「返事が遅い」ことも、社会的には、あまりよくないと評価されますが、「ゆっくり考えて自分の言葉が出てくるまで時間がかかった」という真実なのかもしれません。
 クライアントさんは、「はっきりしていると言われるけれど、色々考えての結果」だとおっしゃいました。

 人は、結果しか見えないのです。想像力を働かせれば、「色々と考えたのだろう」と分かりますが、「はっきりしていると言うことは、そこまで色々考えたんだね」と言える人は少ないのかもしれません。そうクライアントさんに伝えると、「でも、承認の言葉が欲しい場合どうするんですか?」という素直な疑問が飛んできました。

 これはあるな、と自分の経験のことがフラッシュバックしてきました。
 結局、辿りついたのは、「承認の言葉を相手に伝えられる人の方が少なくて、承認の言葉を待っている人の方が多いのかもしれない。それだったら、自分が発見できる目を持てばいい」と言うことではないかと思いました。
 そして、自分の価値は、自分が一番わかるものだというように考えられるようになりました。自分のしている努力は、本当に自分にしか見えないからです。

 「言葉でない、ノンバーバルな承認は、たくさんありますよね」という話になっていきました。
 クライアントさんが、ふとおっしゃいました。「感謝の言葉を伝えるのは難しいなと思う」と。

 例えば、会社で先輩がアドバイスをしてくれたとき、「教えてくれてありがとうございます」と伝えると、「無理して言わなくてもいいわよ」と返されたり、わざといい雰囲気に持っていこうとしているように捉えられいるかのように、逆に空気が悪くなることを体験したことがあったそうです。
 また、軽いつもりで言ったのに、相手に深刻にされると、「そんなつもりじゃ…」と言うこともあるそうです。

 「相手と温度が違う感じですよね」と私が言うと、まさしくそんな感じがするということでした。
 私が「温度差」について、問題視したことがあるのは、子供と遊ぶときです。大人を忘れて、子供と同じ目線にならないと、遊べないなぁと感じました。
 そして、これは傾聴でも同じようなことなのだろうなと思ったので、子供と遊ぶことを通じて、どの人とも「温度」みたいなものを合わせる感覚が掴めてきました。
 自分がカメレオンにでもなったようなのですが、むしろ相手のペースに乗ってしまう方が、楽ちんであることにも気づきました。この気づきは、自分の中で真逆のことでした。以前は、自分のペースに相手を巻き込める自分で、そこがいいところだと思っていたからです。
 しかし、相手に合わせることで、相手を気持ちよくのせるという見方も加わり、自分に深みが出てきたように感じたことがありました。
 相手の温度に合わせた「なるほど!」とか「確かに!」という言葉を返すと、相手も話を続けてくれるものです。


 次に、自然とまた欠点の話になりました。「自分の思いを伝えるのが苦手」というものです。
 「これを言ったら相手は困るから、言わない」と思って、飲み込むことの方が多いようなのです。友達の間では「はっきりしているね」と言われるクライアントさんなのにです。

 接客の仕事をされていらっしゃるのですが、男性のお客様と女性のお客様に、おもてなしの仕方の違いがあるなぁと普段から感じていて、特に男性のお客様は、「男性を立てるように」と、教えられているとか。でも、クライアントさんは、普段から人にこびない性格というのもあって、求められた女性像を作ることは、考えないとできないとおっしゃっていました。

 それに、なるほどと思って、自然とこんな話が浮かびました。私は、コーチも、メンターも、英会話のインストラクターも男性を選ぶ傾向にあります。男性は、こちらが打ち返すと、大きく返してくれるイメージがあるからです。私は、もともと自分から関わっていきたいタイプなので、キャッチボールをしてくれる相手のように感じています。

 すると、クライアントさんは、もともと男友達の方が多くて、今の職場は、女性の職場だから、「もともとの自分」 VS 「求められている自分」を埋めていく中で、もともとの自分に重ね着をしてきてしまったのかもしれない! と、ここで気づかれました。

h これまでの3回分のセッションのフィードバックを見返したら、発信したいとか、もっと極めたいとか、意外とそういう言葉を発している自分に気づいたとおっしゃっていました。

 「能動的にかかわりたいタイプなんでしょうね」と私がフィードバックすると、これまでのすべての話が、そこに落ち着いたような、そんな安堵感がありました。

 きっと、自分の中のバランスを整えている段階なのかもしれません。自分から関わろう、関わろうとしていくことだけでなく、ときには、引いてみたり、待ってみたりということができると、人間的にもさらに幅が広がると思います。
 
 「自分の弱みばかりが目につく」と冒頭でおっしゃっていましたが、話しながら「能動的にかかわっていく自分」に気づくことができました。そこを生かしながら、「能動的に待ってみたり、相手を信じてみたり」が、今度はできるようになるといいのかも、と次のテーマが見えてきました。

 「全然言いたいことも言えないし、自分じゃないみたいなんです」とオリエンのときにおっしゃっていましたが、「言いたいことがあるけど言わない」と考えると、ネガティブな気持ちになりそうですが、「言いたいことがあるけど、今は言わないで黙って見守ろう」と考えると、能動的なクライアントさんにとっては、ニュートラルな感じになるのではないかと思いました。

 自分の弱みばかりが目につくときは、自分を押し殺しぎみのサインなのでしょう。本当のところはパワフルな自分が隠れているのだと思います。そんなところが、引き出され、そこを生かしつつ、次の課題が見えてきたセッションでした。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

自分を押し殺しているところはありますか?


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「自分が何かを言われることに反応してしまうこと」
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