会社のあまり口数の多くない男性は、相手の心をつかむのが上手だけれど、自分と何が違うのか? 考えてみたいとのことでした。

 どんなときに感じたのかと言うと、お客様との商談のとき、「お客さんは、ああ言われているけれど、実際は、こう思っているんじゃないかな〜」というようなときのようです。クライアントさんは、意外なことを言われると、「あーそうなんだ。全然考えたことなかった」となるとおっしゃっていました。

 自分は、真に受け過ぎなのか? 相手はこうかもしれない、と仮説を考えたりしないのか? と訊いてみると、「相手の言葉に裏がある…、もしそう考えたら怖くなりますね。だから考えようとしないのかもしれません。だけれども、表情、言い方など、そう言うところからなら、推測することもあるか…」とお答えになりました。

 そして、その男性のことをもう少し聞いてみると、同僚はあまり気にかけていなくて、お客様のことならわかるとのこと。つまり、クライアントさんとその男性とは、「経験値の差」なのではないかと言うことです。

 クライアントさんは、異業種転職して1年が経過したけれど、なかなか結果が出せないことに焦っているようでした。自分が委縮しているときは、お客様にバリアをはられるように感じるのだそうです。目指すは、バリアをはられたように感じても、自分は自分でいられるようになりたいとおっしゃいました。

 しかし、クライアントさんは以前、販売のお仕事をされていたので、洋服屋でもお客様にバリアをはられているように感じることは、頻繁にあったのではないか? と思い訊いてみました。
 「あのときは、自信があったから、大丈夫だったんです。どうこられても、返せると。そうか、経験があったからですね。今は、知らないことを質問されたら、どうしようと思うし、結果を残していないから怖いんです」と。

 「理想の接客は、どのようなものなんですか?」と訊いてみました。
「今は、相手に期待以上のことをあげられていないし、こちらからの価値をのせたいんです。それに、私たちの考えは、ちゃんと伝わっているだろうか? というところも気になります。想いを伝えたいと思っているけれど、うまく出来ないもどかしさもあるし」とお答えになりました。

 そこで、私はアンバランスさを感じました。お客様とお話しするときに、求められていないことまで、こちらの思いを滔々と語られすぎても、ちょっとそれは要らないんだけど、と思ってしまうことも少なくありません。お客様には、聞かれたときだけ答えればいいのではないかと。そして、そのときに「実は・・・」と盛ればいいのでしょう。

 「もっと聴くことでいいのでは?」と私が言うと、「転職したころは、聴くのがうまいよね、と言われていました。逆に知らないから、色々聞けていたんです。段々と結果の出ない焦りから、覚えたテクで、こなそうとし始めていたのかも…。それに、聞かれたら、答えるような、後出しはいけないと思っていました。相手に訊いてもらおうというテクニックが要ると思っていました。でも、それは、自分がやりたくないことなのに…」と、いろいろとクライアントさんの本音が出はじめました。

 続けておっしゃいました。「アパレルの時は、商品も店もスタッフもお客様も好きだったのに、今は、いとおしいと思えていないし、気持ちが入っていません」

「作業的になっていると…」

「はい、そう、作業です。先日友人に祝福することがあったのですが、口先だけになってしまいました」

「仕事の結果がなかなか出なくて、無気力感がそうさせているのかもしれませんね」と私が言うと、前回からクライアントさんの課題になっていた、「自分の感情をそのまま味わうことで、解決しそうな気がしてきました」とご自身でつながったようでした。

Fotolia_20099192_XS クライアントさんは、「結果」への執着から、「焦り」、「無力感」、「好きと言う気持ちが湧かない」、「喜べない」ところまでつながっているように、私も感じました。

 昨年、メンタルケア講座を受講したとき、ある80歳近い教授のお話が心に残りました。

 「結果主義では、存在価値に気づかない。相手の存在価値をありのままに生かすことが大事」「人生に行き詰まりを感じるときは、自分の価値を見いだせないときだ。今の日本は結果主義だから価値を見出しにくい。存在自体に価値があることを教える必要がある」というフレーズが、私の心にも染み入り、自分のしているセッションは、これでよかったんだ、と大変励みになったのです。


 クライアントさんに、「結果を出さなくちゃ」と思うことを手放す必要がありますね、とお伝えすると、「ひとりでやらなければ…。人と違うことをしなければ…。そう思っていました」と。そして肩の荷が下りたのか、「体が10分前と比べると軽くなりました!」と続けて言われました。

 アパレルで仕事をしていたときは、みんなをいとおしいほど好きで、そこでやりきった感が、転職へと導いたようです。しかし、新しい職場では、結果が出ない自分に焦るばかりで、そもそもの自分の良さにブラインドを下ろしてしまったかのような、そんな状態に陥っていました。

 最初の男性社員と自分との違いが気になったところから、ここに辿りつきました。
「気になっていること」を話すと、面白いように、根本へつながっていきます。

 「自分を取り戻すこと」が、まず必要なのかもしれません。
「結果主義を手放します」の儀式を、満月のタイミングにも重なるし、してみたらどうですか? と話したら、満月の夜は、海にウミガメを見に行くとのこと。

 そんなロマンティックな「儀式」の風景。これ、初ですね。(笑)

 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

手放したいことはありますか?

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■2013年10月19日(土)開催
第20回 秋コミコレクション テーマ「真実と喜びの発見」
講師:堀口ひとみ・播磨弘晃 @東京国際フォーラム

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「自分が何かを言われることに反応してしまうこと」
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