趣味を生かして、家で教室をされているクライアントさんとのセッションです。
セッション5カ月目の方なのですが、最初のほうは、自分の教室の話までいけない状態だったのです。人間関係や自分の考え方について、気になるところがいつもセッションのテーマになっていたからです。

 セッション開始4カ月目くらいから、お世話になっているけれど、どうしても恐怖心を感じて苦手だった方との関係性も、楽になられたということでした。そうしたら、なかなかテーマとして辿りつけなかった、自分のお仕事の発展について、腰を据えて考え始めるようになりました。

 自分の好きなことをビジネスにするというテーマでのセッションの場合、ビジネスをすることに抵抗のない人もいれば、なかなかスタートの切れないクライアントさんも、結構たくさんいらっしゃいます。資格を取るところまでは進められても、集客は、難しいものに感じているようです。

 ビジネス用語で言うと、フロントエンド商品とか、バックエンド商品とか、見込み客とかリピーターとか、色々と難しくさせてしまう言葉になってしまいますが、「おもてなしの心」と考えれば、楽しくて、気持ちのいいものなのかもしれません。

 クライアントさんは、教室を家の和室で開いていらっしゃるそうです。
もっとお客様に来ていただきたいとのことで、前回のセッションでは、自分が教室を開催する日程を増やすことを告知するのと、研究会に参加して、もっとスキルアップを図ることもできると、生徒さんに促すという実行案を決めました。
 そして、生徒さんに告知をすることで、資格を目指して取り組みたいと、3人の生徒さんが、とてもやる気になられたとのことでした。他には、季節のお手紙を出したり、名簿を作ったり、レッスンの履歴をちゃんと残すことも始めたそうです。さっそく、生徒さんとつながりが深くなり始めたところでした。

 以前、相手に日程をあわせてあげることをしたときに、ドタキャンされてしまったことがあり、知人に愚痴をこぼしたら、「相手に振り回されないようにしないと」と、アドバイスを受けて、それから、すっかりクローズな感じになったのだと、思いこんだ原因も分かったそうでした。

 そして、今回のテーマは、「教室っぽくしたい」とのことです。
 私は、その言葉を聞いて、和室空間が頭に浮かんだので、「その和室って、お庭も見えるんですか?」と聞いてみました。
 クライアントさんは、「はい、見えます。片側は、隣のおばあさんが洗濯物を干している時があるので、気を使わないといけませんが、もう片側は、植木が置いてあります。でも、その前に窓を掃除しないと…」とお答えになりました。
 次に、「座布団は、どんなの使っているんですか?」と聞いてみると、「ピンクの座布団です。全然変えていませんね。(汗)」とお答えになりました。

 その調子で、器、テーブル、什器、お菓子、掛け軸…全て、テコ入れが必要なことに気付かれました。自分の先生の教室は、掛け軸も季節ごとに変わっているし、お菓子や器についても、「どこで買ったんですか?」と思わず聞きたくなるほどであることに、セッションの中で話していて気づいていきました。
 自分がよくお世話になっている、苦手だった人もそう言えば、「おもてなしの心が大事」といつもおっしゃっている、ということも思い出していました。
 お手本が近くにいるのに、自分がお客様側の意識しか持っていないと、参考にすることもスルーしてしまうのです。

 色々と教室内で起こりそうなことを想像していきました。私は、「正座が辛い方のために、テーブルと椅子を用意する必要があるのでは?」と思ったので、クライアントさんに聞いてみたら、自分のところは用意していないけれど、やはり先生のところでは、そこまで配慮されているとのことでした。

 こだわりと言えば、以前お菓子にこだわっていたそうで、お菓子作りの知人に頼んでいたことがあったそうなのですが、生徒のひとりが、「そこまでしなくてもいい」と言ってきたようで、だったら断ろうと、お菓子を作っている人に、事情を話して頼むのを辞めたことがあったそうです。
 クライアントさんは、たった一人のネガティブな意見に左右されてしまいがちだった過去についても浮き彫りになりました。たった一人のネガティブで、人はどんどん殻に閉じこもってしまうことがあるのですね。


 「怖いことが起きそうだわ…」と、自意識過剰になっていると、相手のためについて考えることを辞めてしまう方向へ行ってしまいます。
 せっかく、支持をしてくださっている方がいるのに、全部に対して、もてなす気持ちが半分以下に下がってしまっては、本当に残念なことになります。いつでも単に意見として聞いて、「後は自分でよく考えてみる」ことが大事でしょう。

 逆に、ネガティブな意見もないと、向上もしないので、非常に大切なことでもあるのです。私は耳が痛いものでも、「ありがとう」と聞くようにします。ひとりだけの時に、「ちくしょー」と、愚痴もこぼしていますが。(笑)教わり上手とは、そういうことかなと思います。

 ここで、「そこまでしなくても」という意見についても考えてみました。
 おもてなしをするときに、考慮する点としては、「さりげない」と言うことかもしれません。
日本人のメンタリティーとして、「さりげない」を感じられる感性を持っているような気がします。

 以前、軽井沢の「星のや」に宿泊した時のことでした。離れになっている受付で、ウエルカムドリンクを頂きました。それは、10センチくらいのガラス細工のグラスに、さりげない味わいの花とこうじを混ぜ合わせているという飲み物でした。
 もし、ドーンと、ガラス細工のコップに注がれていたら、ちょっと違う印象を持ったかもしれないと思います。

 「おもてなし」の仕方は、様々なので、自分が実際に体験して、いいなと思う感覚をインプットしてみると、自分が考えるときに、アウトプットしやすくなると思います。
それには、感じてみようとしないと、なかなか気づけないものだったりするのです。
 サービスを受ける側から、サービスを提供する側へ。双方向を意識をすることで、今まで見えていなかったものが、見えてくるのではないでしょうか。


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ネガティブな意見は、どう参考にしていますか?